最高裁判所第二小法廷 昭和26年(あ)2521号 判決 1953年4月17日
主文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差戻す。
理由
被告人松本憲治の弁護人十川寛之助の上告趣意について。
記録によれば、昭和二六年一月三〇日付公判調書には、原審において同日本件に関する公判が開廷され、裁判長判事富田仲次郎、判事棚木靭雄、判事網田覚一が列席して、本件の控訴審の審理がなされた旨の記載があり、その後審理の更新された形迹がないにかかわらず、原判決には裁判長判事富田仲次郎、棚木靭雄、判事入江菊之助の署名押印のあることは所論のとおりであるから、原判決には公判の審理に関与しない判事入江菊之助が判決に関与した違法あるものというの外なく、右の違法は、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとみとめるべきであるから、各弁護人の論旨について判断するまでもなく、刑訴四一一条、四一四条、四〇一条、四一三条に従い全裁判官一致の意見により主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)